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2. 2011年東北弧沖平成巨大地震M9.0を誘起した太平洋Slab下部Mantle突入と閏秒および極運動との関連
本年2026年は「2011年3月11日東北弧沖平成巨大地震M9.0」被災15周年に当たり,多くの追悼企画が報道された.その中に,宮城県石巻市の市民団体作成の防災カルタが,「[お] おおつなみ想定外と皆が言い」と詠んでいるとの報道があった.しかし,想定外と発言された地震・津波の専門家の方々のその後の研究によって拓かれた新たな理解についての報道は見当たらない.筆者も停電の暗闇で「想定外」との発言を手回しラジオで聴き,そのような発言をする専門家に地震・津波の研究を任せておけないと一念発起し,「月刊地震予報」への道を開始した一人である.本章はその研究現状を報告する.
実は,「2011年M9.0」は私にとっても想定外であった.「東海地震」が明日にも起こると言われていた静岡の静岡大学に1978年春転勤したが,2008年の停年まで起こらず,仙台に帰郷していた.日本海溝域で続いた静穏期に蓄積したPlate運動歪は「2003年9月26日M8.0」によって解放されたと考えていたからである(図652).
図652 「2011年3月11日M9.0」は想定外.
日本海溝域のCMT解(1994年9月-)
左図:震央地図と中図:海溝距離断面図の数字とMは地震発生年月日と規模.震源円の直径は地震規模Mから算出される地震断層長L km(=10^(0.6M-2.9))で,面積は地震断層面積Sf km
2
(=10^(1.2M-9.9))に比例<a href=
https://www.niitsuma-geolab.net/archives/7879
>月刊地震予報173</a>).
震央地図上の左上から右下に向かう曲線は太平洋Plate PCの北米Plateに対するEuler緯線で,震源の主歪方位(震源円内の色直線)が並行していることから,太平洋底がPlate運動によって日本海溝から沈込んでいることが分かる.
Clickすると拡大します.
「2003年M8.0」で蓄積歪が解放されていれば,Plate運動歪はPlate境界面に蓄積して静穏化すると予想していた.しかし,「2003年M8.0」以降の累積地震断層面積を表すBenioff曲線は,Plate運動によって蓄積する歪(右図中の時系列図左縁のBenioff図の左下端から右上に伸びる直線)に沿っており,歪を蓄積せず,増大するPlate運動歪を全て地震に受け流さざるを得ない状態にあったのである.「2003年M8.0」以前のBenioff曲線も歪蓄積直線に沿っており,日本海溝域全体が2003年に既に歪満杯であったことになる.
海洋Slabの沈込み口に当たる海溝軸は小円に沿って弧状に屈曲しているが,その輪郭が島弧側に凸の場合には沈込みSlabは過剰になり襞を形成すれば沈込めるが,海洋側に凸の場合にはSlab不足になり破断しなければ沈込めない.破断が海溝軸にまで達していなければ海洋底の海溝外破断が生じる(図653).「2003年M8.0」はSlab過剰域,「2011年M9.0」は沈込み難いSlab不足域で起こっている.日本海溝域は「2003年M8.0」が起こる前にPlate運動歪満杯状態にあったので,Slab沈込みが容易なSlab過剰の日本海溝北端部から「2003年M8.0」として歪を解放したのであろう.Slab過剰域の先行沈込みは, Slab不足域の固着保持も限界に近付いている警報になる.
図653 海溝軸輪郭によるSlab過不足(新妻,2007)
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日本海溝域は2003年にPlate運動歪満杯状態にあったが,何時からPlate運動歪蓄積を開始したのであろうか.
1600年から現在まで12157個の地震が起こっているが,その総地震断層面積規模はΣM9.5に達している.その間の積算Plate運動面積規模もM9.5とほぼ一致し,「2011年平成M9.0」震源域が1600年以降地震空白域となっていることは,「2011年平成M9.0」震源域が「1611年慶長M8.1」以前からの固着していたことを物語っている(図645右中の時系列図).
「1896年明治M8.5」以降,Benioff曲線の増大角がPlate運動歪累積直線よりも大きなことは,Plate運動歪累積速度を上回る蓄積歪の地震断層面積放出を意味する.この「1896年明治M8.5」以降の過剰蓄積歪放出は,「2003年M8.0」の蓄積歪過剰警報を経て,「2011年平成M9.0」によって完全解放に至ったのであろう.
東北日本の地震断層面積の深度分布(図654右の縦断面中上縦断面図左端areaM)は,上端を最大とし深度とともに減少するが,沈込みSlab深部の300㎞から600㎞へ増大する.これらの地震は逆断層p型であるが,日本海溝沿いは主圧縮P軸傾斜方位が海洋側の剪断ps型(赤色:図654右図下の主歪軸傾斜方位図の上下縁)・Slab深部は背弧側傾斜の座屈pb型(橙色:図654右図下の主歪軸傾斜方位図の中央横縁)と異なる.
海溝距離断面図(図654中図)の震源は海溝から同心円状に屈曲した後,平面化した沈込みSlab上面の下に沿って分布し,深度660㎞の下部Mantle上面を越し,規模もM7.0以上に達し,沈込みSlabの下部Mantle上面へ突入している.
図654 「1611年慶長M8.1」以前からの固着を解放した「2011年平成M9.0」
震源円の直径は地震規模Mから算出される地震断層長L km(=10^(0.6M-2.9))で,面積は地震断層面積Sf km
2
(=10^(1.2M-9.9))に比例<a href=
https://www.niitsuma-geolab.net/archives/7879
>月刊地震予報173</a>).
右図震央地図・中図海溝距離断面図・右図中時系列図左端の漢字はBenioff曲線に段差を与える大地震発生年号.
震央地図上の左上から右下に向かう曲線は太平洋Plate PCの北米Plateに対するEuler緯線で,震源の主歪方位(震源円内の色直線)が並行していることから,太平洋底がPlate運動によって日本海溝から沈込み,深度660㎞の下部Mantle上面に突入していることが分かる.
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Mantle橄欖岩の構成鉱物は,α相の上部Manlte,β相・γ相のMantle漸移帯,そしてperovskite・magnesiowustite相の下部Mantleである(図655中海溝距離断面図).深度410㎞のα相からβ相,深度550㎞のβ相からγ相への相転移は低温程転移し易いのに対し,深度660㎞の下部Mantleへの相転移は低温程転移し難い.海底で冷却された海洋底が沈込んだSlabは,低温のため漸移帯では引きずり降ろされるのに対し,下部Mantle上面で相転移できず押し上げられる.このSlab押し上げ歪が破壊限界に達すると座屈逆断層pb型破壊を生ずる.座屈破壊規模が下部Mantle上面へ向かって増大すること(図655)は,相転移押し上げが太平洋Slab地震活動の主要支配要因であることを示している.
Slab深部の座屈破壊は,「2011年M9.0」直前の1999年から2010年までのM6.9からM7.2の総地震断層面積規模ΣM7.5から,「2011年M9.0」以降のΣM6.7に激減している.この激減は,Slab深部の座屈破壊こそが「2011年M9.0」を引き起こした要因であることを示唆している.
すなわち,千数百㎞にも及ぶ太平洋Slabは,支え棒としてSlab上端の海溝に沿う沈込みPlate境界を数百年間固着させるともにPlate運動歪を蓄積してきたが,蓄積Plate運動歪が過大になり,過剰蓄積歪放出,下部Mantle上面の相転移浮力による基底部座屈破壊を経て「2011年平成M9.0」へ至ったとの筋書きが浮上する(新妻,2024).
千数百㎞にも及ぶ太平洋Slabの挙動が大規模で地球重心に影響が及べば,地球自転に変動を与えるであろう.
図655 1972年以降の沈込みSlabの下部Mantle突入と閏秒挿入
震源円の直径は地震規模Mから算出される地震断層長L km(=10^(0.6M-2.9))で,面積は地震断層面積Sf km
2
(=10^(1.2M-9.9))に比例<a href=
https://www.niitsuma-geolab.net/archives/7879
>月刊地震予報173</a>).地震規模が小さいのでΔM+1.0を加えて震源直径を4倍拡大.
震央地図上の左上から右下に向かう曲線は太平洋Plate PCの北米Plateに対するEuler緯線で,震源の主歪方位(震源円内の色直線)に並行していることから,太平洋底が日本海溝から沈込み深度660㎞の下部Mantle上面に突入していることが分かる.
「閏秒挿入」は右中図右縁に表示:「2011年平成M9.0」前の太平洋Slab深部地震活発化に対応して挿入間隔が拡大している.
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相転移を伴い密度の大きい広大なSlabが下部Mantleに突入すれば,地軸に対する質量分布が変化し,自転速度の変化が予想される.時間は,日常使用されている基本単位であるが,地球の自転を基準に定義されてきた.一方,地球の自転は1972年から原子時計に基づいて管理されている.海洋潮汐などの摩擦抵抗によって減速されるため,その差が1秒に達する前に負の閏秒を挿入して調整されてきた.しかし,約1年であった挿入間隔が1999年1月以降,数年にまで伸び,近年では挿入が必要ないばかりか,正の閏秒の挿入まで検討されている(図656:Fischetti, 2025;国土地理院,2026).
1999年から2006年までは,1972年以降最長の閏秒の無挿入期間になっているが,太平洋Slab深部の座屈地震活動の活動期に当たっている(新妻,2025;図655).閏秒無挿入の地球自転加速は地球重心の自転軸への接近を意味するので,Slab深部座屈が地球重心の下方移動に対応していることになる.
図656 1972年以降の閏秒挿入
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地球自転速度に太平洋Slabが影響を及ぼしているのであれば,1900年以降の国際緯度観測による極運動との関連も期待される.極運動は平均値のまわりにおよそ1年の周期で反時計回りにほぼ円に近い軌道を描いている(図657左).極運動の子午線成分と直交成分は共に増減している(図657右).振幅減小期に年平均極は南下し,太平洋Slab地震活動が活発化している(図658).Wadati(1935)が深発地震面を報告したのは1920年から1930年代の減小期である.増大期にはSlab地震活動が静穏化するとともに自転速度が減速し,閏秒が挿入されている.
図657 自転速度とともに変化する極位置
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図658 1922年以降の太平洋Slab震源分布と1900年以降の極位置移動
震源円の直径は地震規模Mから算出される地震断層長L km(=10^(0.6M-2.9))で,面積は地震断層面積Sf km
2
(=10^(1.2M-9.9))に比例<a href=
https://www.niitsuma-geolab.net/archives/7879
>月刊地震予報173</a>).地震規模が小さいのでΔM+1.0を加えて震源直径を4倍拡大.
震央地図上の左上から右下に向かう曲線は太平洋Plate PCの北米Plateに対するEuler緯線で,震源の主歪方位(震源円内の色直線)に並行していることから,太平洋底が日本海溝から沈込み深度660㎞の下部Mantle上面に突入していることが分かる.
「極位置座標変動」は右中の時系列図右縁に表示:「2011年平成M9.0」前の太平洋Slab深部地震活発化に対応して座標振幅が減小している.
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1972年から2026年までの閏秒挿入・1900年からの極移動と太平洋Slab地震を比較すると,Slab地震発生後に閏秒挿入間隔が増大し,南方に移動している(図658).特に1999年から2006年までの無挿入と地震との関係(図655)は明瞭で,figure skate選手が伸ばしていた腕を縮めることによって回転速度を上げるように,先端が破壊限界を超え座屈するまで歪むSlabが地球重心を自転軸に近付け,地球自転を加速したのであろう(図659).
図659 Skaterの腕・脚のように千数百㎞のSlabを使う日本列島
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2万数千人の犠牲者を出した「2011年平成M9.0」は,地球自転にまで影響を与える太平洋Slabの下部Mantle突入が,数百年保持してきた日本海溝域のPlate境界固着を外すと言う,極めて大規模で長期間に渡る地球の一大異変の結果として起こったのである(図660).同様の異変が現在千島海溝域で進行中である(図661).
図660 結論
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図661 異変は,現在,千島海溝域で進行中.
「2025年7月M8.8」・「2025年12月M7.4」・「2026年3月M7.4」はSlab過剰域の警報で本命はSlab不足域の得撫沖.
震源円の直径は地震規模Mから算出される地震断層長L km(=10^(0.6M-2.9))で,面積は地震断層面積Sf km
2
(=10^(1.2M-9.9))に比例<a href=
https://www.niitsuma-geolab.net/archives/7879
>月刊地震予報173</a>).地震規模が小さいのでΔM+0.5を加えて震源直径を2倍拡大.
震央地図上の左上から右下に向かう曲線は太平洋Plate PCの北米Plateに対するEuler緯線で,震源の主歪方位(震源円内の色直線)に並行していることから,太平洋底が日本海溝から沈込み深度660㎞の下部Mantle上面付近まで達していることが分かる.
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